IE8でのHTML5要素有効化あれこれ

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 もう7月も終わりですね、martinです。相変わらず時の流れは速いもので。

 このサイトのブログの基本テーマ(スキン)「Basic」では、試験的にHTML5を導入しています。HTML5では新しい要素がいくつか追加Link されていますが、IE9未満のブラウザでは、articleheader, navなどのクールで新しい要素に対するスタイルシート指定が効かない、という事が昔から知られています。これに対するアプローチとして、 document.createElementを使うとスタイルシートでの指定が可能になるよ、というのがよく知られています。初出は Sjoerd VisscherLink さんあたりでしょうかねぇ。
document.createElement(”article”); // 未知の要素articleに対してIEでもCSS指定が可能になる

 このdocument.createElementを使うテクニックは、いろんなところで見かけることができて、有名どころでは、Remy sharp氏のhtml5.jsLink あたりですね。

 もっとも、このテクニックを使っただけでは、IEでHTML5化を効かせたページを印刷したときまでは反映されないので、これに対しては、IE Print Protector Link がよく知られていると思います(個人的には、印刷のサポートまではあまり興味がありませんが)。

 で、このcreateElementを使うテクニックは、ベタに書けば以下のような感じになります。

// ここでは簡潔化のため、以下の6個の新要素に絞ってます。
<!--[if lt IE 9]>
var html5_elements = ["header", "nav", "article", "section", "aside", "footer"]; 
for (var i = 0, len = html5_elements.length; i < len; i++){
 document.createElement(html5_elements[i]); // 各要素に適用
}
<![endif]-->
 どこで最初に見かけたのか失念しましたが、これを一行(ワンライナー)で簡潔に済ませたスクリプトを見たときはいたく感心しました。Dean Edwards氏のブログLink もこうなっています。
"header,nav,article,section,aside,footer".replace(/¥w+/g, function(a){document.createElement(a)});
 上のポイントは、replaceメソッドの引数に関数を指定できて、その関数内では、正規表現にマッチした要素を適宜適用していく点です。ループみたいなことを勝手にやってくれる点ですね。おそらくこれ以上短くは書けないのではないかと思うのですが、息抜きに自分なりにいくつか考えてみました。
"header,nav,article,section,aside,footer".split(',').sort(function(a){return document.createElement(a)*1});
 これも、似たような発想からですね。自動でなんかやってくれるという。
with("header,nav,article,section,aside,footer".split(',')))while(length)document.createElement(pop());
 ここではwith構文を使ってみました。これもなかなかシンプルです。同じくwithと、Enumeratorを使って、
with(new Enumerator("header,nav,article,section,aside,footer".split(',')))for(;!atEnd();moveNext())document.createElement(item());
 これは、ちょっと長いし、Enumerator ObjectLink はマイナーですかね。

 短さ命で、グローバル変数の汚染なんて気にしないぜっ、という向きには以下のようなものもありかと思います。

s="header,nav,article,section,aside,footer".split(',');while(s[0])document.createElement(s.pop());

 for文関連では、

for(i in s="header,nav,article,section,aside,footer".split(','))document.createElement(s[i]);
とか
for(i=0;n="header,nav,article,section,aside,footer".split(',')[i++];document.createElement(n));
とかですかねぇ。

 ちなみに、配列を作るのに、文字列にsplit()をかませるというのは、よく見かける手法です。ここでの、6個ぐらいの要素数ではあまり差は出ませんが、要素数が増えてくると、逐一ダブルクォート(or シングルクォート)で括っていくやり方と大きく差が付いてきます。

var html5_elements = ["header", "nav", "article", "section", "aside", "footer"]; // これより
var html5_elements = "header,nav,article,section,aside,footer".split(','); // こっちが記述が短い 

 正規表現から配列も出来ますね。

var html5_elements = "header,nav,article,section,aside,footer".match(/¥w+/g);

 以上、トリビアルなエントリーでした

   


— posted by martin at 12:18 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [1]

HTML5 FileAPIの不満な点

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 こんにちは、martinです。なかなかまとまった時間が取れないので、ppBlogの最新版をリリースできずにいます(--)

 最新版のバージョンとしては、v1.9.0を予定しています。新機能としては、コメント認証機能だとか、HTML5を意識したppBlogエンジンでしょうか(ちなみにテーマBasicのソースはHTML5仕様ですよ)。

 で、このHTML5なんですが。過去のエントリーでいくつかあるように、最新版では、記事投稿の際に複数ファイルアップロードが可能になっています。HTML5のFileAPILink を積極的に採り入れたものにしようか、それとも「レガシーな」もので実現させるか迷いましたが、とりあえず「レガシー」なバージョンで行こうと思います。理由はいくつかありますが、一番の理由は、どうもHTML5のFileAPIの使い勝手が悪い点です。

 ブログでの写真投稿において、一度に複数枚の写真を選択してアップロードできる点は、HTML5を使う魅力のひとつですが、この「複数枚のファイルを選択」というのが、どうも洗練されていない印象です。例えば、アップする写真を複数枚決めてそれをアップロードする場合を考えてみます。頭の中では、大まかに写真をのせる順番が決まっていて、ファイル選択画面から、コントールキー(CTRL)を押しながら、順序良く写真をいくつか選んだとします。最新のブラウザなら以下のように、multipleを指定するだけで、この複数枚選択という動作が可能になります。

<input type="file" name="src[]" multiple />

でも、残念なことに、この選んだ順序というのは、FileListLink には反映されないのです。否応なしに、ファイル選択画面上で表示されている通りの順序になるようです。何か、選んだ順序を紐付けするような属性が欲しくなります。

 もうひとつ。選んだ複数枚のファイルは、FileList配列に収められて、あたかも配列のようにDOM操作が可能ですが、この配列は、readonly、つまり読み取り専用Link のようです。たとえば、ちょっと余分に画像を選んじゃったよ、という場合に、その余分なファイルだけをリストから除きたいというケースは、間違いなく出てくると思いますが、そういう操作は出来ないようです。再度、すべてのファイルを選び直す必要があります。これは、ユーザーには使い勝手が悪いですね。

 というわけで、上記の理由により、ppBlogではW3C FileAPIの積極的な採用は見送りました。でも、HTML5に頼らずとも、一度に複数枚のファイルのアップロードは可能です。Stickmanさんが、2005年に、すでにそういうギミックを見付けていましたLink 。最初見たときは、目から鱗でした。やってることはすごくシンプルなんですが、まさにコロンブスの卵ですね。で、彼のスクリプトは、ppBlogにはちょっと冗長でしたので、参考にしつつ、ppBlog仕様にしました。実際のデモを見てみましょう。尚、デモでは「アップロード」ボタンは、文字通りただのボタンなので、実際にはファイルはアップロードされませんが、雰囲気は十分に伝わると思います。

レガシーな複数ファイルアップロードのデモ →http://p2b.jp/demo/EasyFileUpload.htmlLink

 また、Firefox最新版など、File APIに十分対応しているブラウザでは、選んだ画像をサムネイル表示するようにしています。Firefoxだと以下のようなスクリーンショットです。Firefox以外では、普通に選んだ画像のファイル名が選んだ順にリスト表示されます。

MFU-shot
Firefox3.6でのスクリーンショットです。

この部分のスクリプトは以下の感じ。

 if(window.File && window.FileList && window.FileReader){ // FileAPIに対応しているなら
  var file = el.files[0];
  if(file.type.match(/image.*/)){
   var reader = new FileReader(); // FileReader オブジェクト!
   reader.onload = function(){
    var span = d.createElement("span");
    span.innerHTML = '<img class="thumb" src="' + this.result + '" alt="preview" /> (' + Math.round(file.size / 1000) + ' KB)';
    li.insertBefore(span, li.lastChild);
   };
   reader.readAsDataURL(file); // 画像データの読み込み
  }
 }

 レガシーなインターフェイスですが、任意のリストを削除出来ますし、HTML5仕様より却って高機能(=使い勝手が良い)な気がします。

 ちなみに、デモのソースを見ていただけると分かりますが、INPUT[type=file]要素に、レガシーにonchangeイベントハンドラを仕込んでいます。document.addEventListerで監視しても良いのですが、IEでは、onchangeイベントがバブルしないようで:(

 余談ですが、「目から鱗」の語源は、新約聖書の「使徒行伝(しとぎょうでん)」中のエピソード、見えなくなっていたパウロLink (サウロ)の目からうろこのようなもの(コンタクトレンズ?)が外れて再度見えるようになったという「パウロの回心」からですね。「豚に真珠」と同様、日本とか中国由来と思いきや、新約聖書からの諺です。

   


— posted by martin at 09:28 pm   commentComment [4]  pingTrackBack [0]

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