HTML5 FileAPIの不満な点

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 こんにちは、martinです。なかなかまとまった時間が取れないので、ppBlogの最新版をリリースできずにいます(--)

 最新版のバージョンとしては、v1.9.0を予定しています。新機能としては、コメント認証機能だとか、HTML5を意識したppBlogエンジンでしょうか(ちなみにテーマBasicのソースはHTML5仕様ですよ)。

 で、このHTML5なんですが。過去のエントリーでいくつかあるように、最新版では、記事投稿の際に複数ファイルアップロードが可能になっています。HTML5のFileAPILink を積極的に採り入れたものにしようか、それとも「レガシーな」もので実現させるか迷いましたが、とりあえず「レガシー」なバージョンで行こうと思います。理由はいくつかありますが、一番の理由は、どうもHTML5のFileAPIの使い勝手が悪い点です。

 ブログでの写真投稿において、一度に複数枚の写真を選択してアップロードできる点は、HTML5を使う魅力のひとつですが、この「複数枚のファイルを選択」というのが、どうも洗練されていない印象です。例えば、アップする写真を複数枚決めてそれをアップロードする場合を考えてみます。頭の中では、大まかに写真をのせる順番が決まっていて、ファイル選択画面から、コントールキー(CTRL)を押しながら、順序良く写真をいくつか選んだとします。最新のブラウザなら以下のように、multipleを指定するだけで、この複数枚選択という動作が可能になります。

<input type="file" name="src[]" multiple />

でも、残念なことに、この選んだ順序というのは、FileListLink には反映されないのです。否応なしに、ファイル選択画面上で表示されている通りの順序になるようです。何か、選んだ順序を紐付けするような属性が欲しくなります。

 もうひとつ。選んだ複数枚のファイルは、FileList配列に収められて、あたかも配列のようにDOM操作が可能ですが、この配列は、readonly、つまり読み取り専用Link のようです。たとえば、ちょっと余分に画像を選んじゃったよ、という場合に、その余分なファイルだけをリストから除きたいというケースは、間違いなく出てくると思いますが、そういう操作は出来ないようです。再度、すべてのファイルを選び直す必要があります。これは、ユーザーには使い勝手が悪いですね。

 というわけで、上記の理由により、ppBlogではW3C FileAPIの積極的な採用は見送りました。でも、HTML5に頼らずとも、一度に複数枚のファイルのアップロードは可能です。Stickmanさんが、2005年に、すでにそういうギミックを見付けていましたLink 。最初見たときは、目から鱗でした。やってることはすごくシンプルなんですが、まさにコロンブスの卵ですね。で、彼のスクリプトは、ppBlogにはちょっと冗長でしたので、参考にしつつ、ppBlog仕様にしました。実際のデモを見てみましょう。尚、デモでは「アップロード」ボタンは、文字通りただのボタンなので、実際にはファイルはアップロードされませんが、雰囲気は十分に伝わると思います。

レガシーな複数ファイルアップロードのデモ →http://p2b.jp/demo/EasyFileUpload.htmlLink

 また、Firefox最新版など、File APIに十分対応しているブラウザでは、選んだ画像をサムネイル表示するようにしています。Firefoxだと以下のようなスクリーンショットです。Firefox以外では、普通に選んだ画像のファイル名が選んだ順にリスト表示されます。

MFU-shot
Firefox3.6でのスクリーンショットです。

この部分のスクリプトは以下の感じ。

 if(window.File && window.FileList && window.FileReader){ // FileAPIに対応しているなら
  var file = el.files[0];
  if(file.type.match(/image.*/)){
   var reader = new FileReader(); // FileReader オブジェクト!
   reader.onload = function(){
    var span = d.createElement("span");
    span.innerHTML = '<img class="thumb" src="' + this.result + '" alt="preview" /> (' + Math.round(file.size / 1000) + ' KB)';
    li.insertBefore(span, li.lastChild);
   };
   reader.readAsDataURL(file); // 画像データの読み込み
  }
 }

 レガシーなインターフェイスですが、任意のリストを削除出来ますし、HTML5仕様より却って高機能(=使い勝手が良い)な気がします。

 ちなみに、デモのソースを見ていただけると分かりますが、INPUT[type=file]要素に、レガシーにonchangeイベントハンドラを仕込んでいます。document.addEventListerで監視しても良いのですが、IEでは、onchangeイベントがバブルしないようで:(

 余談ですが、「目から鱗」の語源は、新約聖書の「使徒行伝(しとぎょうでん)」中のエピソード、見えなくなっていたパウロLink (サウロ)の目からうろこのようなもの(コンタクトレンズ?)が外れて再度見えるようになったという「パウロの回心」からですね。「豚に真珠」と同様、日本とか中国由来と思いきや、新約聖書からの諺です。

   


— posted by martin at 09:28 pm   commentComment [4]  pingTrackBack [0]

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